DQ4プレー記・ただ今のお題
<掃き溜めに鶴>

ルール
・4章はミネア(とオーリン)だけで進める
・5章、船取得までは勇者、ミネアのみで進める
・5章、船取得以降、トルネコ、ライアン、ブライ、ミネアで進める
・キングレオ戦、天空への塔のみ勇者使用可
・勇者は馬車内での生存状態可。アリーナ、クリフト、マーニャは棺桶
・ガーデンブルグでの棺桶人質可
・838861、8逃げ、透明気球等の裏ワザ禁止
・種や木の実類は使い切る


過去のプレー記(プレー記案内はこちら
[記念の二部作]
[01]20周年記念 [10]25周年記念
[女性勇者二部作]
[02]装備品 買わない盗まない [09]いろいろやりすぎ
[三人旅三部作]
[03]水戸黄門 [04]腹でん!(パラディン)と美人姉妹 [05]まどろみ無双
[柔剛柔の三部作]
[06]クレバーカルテット [07]益荒男四人衆 [08]クレバーカルテットDS
[勇者役トルネコの二部作](の予定)
[11]百花繚乱 [12]進行中


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2010年07月10日
 最終回、シメの話。今回はラストなのでちょっと視点を変えてみます。棺桶問題も無理やりの解決を試みました。かなり長いです。

   ◆◆◆

 わたしたちはついにデスピサロを倒した。
 戦いを終えてホッとしたせいか、戦いの最中それほど気にならなかった左腕の痛みが激しく蘇った。恐る恐る、腕を見てみる。あまりの生々しい傷、その傷から流れ出る熱く真っ赤な血に悪心がした。傷や血を見るのにはもう慣れたつもりだったけれど、自分のものを見るのはやはり良い気分ではなかった。この傷、跡が残ってしまうのかな。早いうちにクリフトに治してもらえば大丈夫かしら?
 それにしても……疲れた。座りたい。寝転がりたい。そんな衝動に駆られた。
 でも、ここで腰を下ろしてしまったらもう立てなくなってしまうような気がして、何とか思いとどまる。だって、まだ全てが終わったわけではないのだから。早くこんな暗いところを脱出して、お城に戻らなければいけないのだから。
「さあ、戻りましょう。地上に……」
 そう言った途端、地面が激しく揺れだした。地面を見ると、ひび割れを起こしているのが分かった。ここは切り立った崖の先端部分。その下は何処までも続いているであろう真っ暗闇。ここで地面が割れてしまったら大変なことになる!
「は、早く戻らなきゃ!」
「急ぎましょう!」
「行きますぞ!」
 ブライとクリフトの方へ駆け出そうとしたその瞬間、わたしとデスピサロがいた部分の地面が激しい轟音とともに砕け散った。まずい、このままじゃ……。
 すでに動くことのないデスピサロの亡骸はそのまま闇へと飲み込まれていった。でもわたしは、こんなところで落ちるわけにはいかない! 腕を思い切り伸ばして、まだ崩れていない崖のへりになんとかつかまった。
「ぐっ……」
 しかし、伸ばした腕は怪我をしている左腕だった。あまりの痛みに、わたしはたまらずへりから手を離してしまった。
「姫様あああ!」
 クリフトが崖から身を乗り出すようにして差し出してくれた手を、わたしは必死で右腕を伸ばしてつかもうとした。クリフトとわたしの指先同士が触れ合った。しかし、指先だけではどうにもならずに……。だめ、落ち……る……。
「ああああ! 姫様ーーー!」
「姫ぇぇぇーーー!」
 絶叫するクリフトとブライの姿が見る見るうちに小さくなっていった。

 うそでしょう? せっかくここまで来たのに……あとはサントハイムのお城へ帰るだけだったのに。デスピサロや進化の秘法や黄金の腕輪と一緒に、わたしも闇へと沈んでしまうというの? しかし、もはや自分ではどうすることも出来ない。せめてどこかにしがみつくことが出来れば何とかなるのに……目の前に広がるのはただひたすらに闇、闇、闇。
 わたしがいなくなったら、国の将来はどうなってしまうの? 跡を継げるのはわたししかいないのよ? お父様に会って、お話したいことだって山ほどあるのに……わたしはまだ、死ねないのに!

 崖から落ちてどれくらい経ったのか、時間の感覚も分からなくなってきたその時、突然全身に下から突き上げられるような衝撃が走った。ついに闇の最果てに激突してしまったのか……あまりの衝撃に息をすることもままならず、急激に意識が薄れていった……。

 ついにわたしは死んでしまったの……? 死んでしまったのなら、お母様には会えるのかしら? お会いして、もしお父様はお元気だったかと尋ねられたら、わたしはなんて答えればいいの? お父様のお声が出なくなったあの一件以来、わたしはお父様に会っていない。もうあれからどれくらい経っているというの? ううぅ……腕が、左腕が痛い……え? 痛い? 死んでいるのに、痛みなんて感じるものなの?

 左腕の激しい痛みで、わたしは我に返った。それまで暗闇一色だったはずなのに何故かあたりは光に包まれていた。暗闇に慣れた目にはとてもまぶしくて眩暈がする。しかもわたし、宙に浮いている……? 宙に浮いているということは、やはり死んでいるってことなの? もう何がなんだかよく分からない。でも左腕は今も血まみれで傷も残っているし、とにかく痛む。
 自分の置かれた状況が分からず混乱しているわたしの前に、突然大きな翼を羽ばたかせた黄金の竜が現れた。
「危ないところだった……デスピサロの野望を見事打ち砕いたおまえを、こんなところで死なせるわけにはいかない」
 黄金の竜は、以前天空城で会った神様、マスタードラゴンだった。
「おまえの仲間はすでに私が保護して、故郷へ送り届けた。おまえも故郷へと送り届けてやろう」
 どうやらブライとクリフトは無事だったみたいで、わたしは少しホッとした。
「それにしても、まさか本当に3人だけで地獄の帝王を倒し、デスピサロをも倒してしまうとは……人間とは、本当に不思議な生き物だな」
 その言葉にわたしはふと棺の5人のことを思い出し、そのことをマスタードラゴンに問いかけた。
「安心するが良い。あの5人も、然るべき姿でそれぞれの故郷へ送り届けた」
 然るべき姿とはつまり、生き返ったということなのか。わたしはさらに、前から思っていたことを率直に尋ねる。
「あの5人は……本当は、生きてわたしたちと一緒に戦うはずではなかったの?」
「…………」
「でも何故か、そうはならなかった。わたしが彼らと合流したときから、既に棺に入っていた。その後に仲間になったライアンという人も、いつの間にか同じ姿になっていた。それは神様、もしかしたらあなたの仕業ではないの?」
 マスタードラゴンの表情が、わずかに険しくなった。
「何ゆえに、そう思う?」
「わたしたちに棺と一緒に旅をさせるなんて、そんな悪戯をすることが出来るのは神様しかいないと思ったからよ。あなたは天空城で会ったときに、勇者を蘇生すると言っておきながら、結局蘇生はしなかった……その時に、もしかしたらと思ったの」
「さすがに鋭い勘をしているな。そうだ、おまえの言うとおりだよ。だが、『悪戯』はひどい言い種だな。私は教訓のつもりだったのだが」
 教訓……?
「おまえたちは、持つ者にとんでもない災いを招くと恐れられ、二度と日の目を見ぬようにと洞窟に厳重に封印した黄金の腕輪を、その話を知っていながらたった1人の娘の命を守るためだけに持ち出してしまったであろう? 黄金の腕輪がどんなものだったかは既に分かっているであろうが、たった1人を守るために多くの者、いや、人類全てを恐怖に巻き込むことがどれだけ愚かなことかを分からせるために、あえておまえたち3人だけで戦わせることにしようと思ったのだよ」
 思いもよらなかったその事実に、わたしは返す言葉が出てこなかった。確かにあのとき、わたしたちは黄金の腕輪を地上へ持ち出した。いいえ、わたしたちというより、わたしが周囲の反対を押し切って独断で持ち出した。
 実体のよく分からない「災い」に恐れおののくよりもまず、人の命を救う方が大切だと思ったから、わたしはそうした。
 でも後に真実を知ったとき、わたしは心の中で密かに動揺した。まさか黄金の腕輪にそれほどの力があるとは思ってもいなかった。さすがにこれはとんでもないことをしてしまったのかもしれないと密かに思った。でも……、
「私は、おまえたちだけではデスピサロは倒せないだろうと思っていた。そこで、黄金の腕輪を地上に持ち出したことがどれだけ愚かだったかを思い知らせたうえで、5人の者たちを戦いに加わらせようと思っていた。だが、おまえたちは3人だけでデスピサロを倒してしまった。それだけは全くの誤算だった」
 でもだからこそ、わたしは戦い続けた。「とんでもないこと」をとんでもないままにしておきたくはなかったから、自分で蒔いた種は自分で何とかしなければならないと思ったから、必死になって戦ったわ。どんなに強力な呪文を唱える敵にも、わたしよりも何倍も大きな体で、恐ろしい武器を振り回して攻撃してくる敵にだってわたしは怯まずに戦ってきた。途中、自分でもどうすれば良いか分からなくなって、ブライに諭されたこともあった。どうすべきか考えに考えて、戦って、戦って、戦って、やっと、デスピサロをこの手で倒し、進化の秘法も黄金の腕輪も、闇の奥底に封じ込めた。

 しかしそのことが、この神様にとっては誤算だったらしい。

 誤算? ……誤算だなんて、随分な言い種じゃない!
 わたしはマスタードラゴンのその一言に我慢がならなかった。
「思い知らせることが出来なかったのならば、それは教訓になっていない! やっぱりただの悪戯よ。それにわたしは、今でもあの時メイを助けたのは間違いだったとは思っていないわ!」
 マスタードラゴンを睨みつけて、わたしはさらに、自分の思いの丈をぶつけた。
「ブライは以前、わたしに言ったわ。全ての人を救うのは無理だ、多くの屍の上に平和は築かれる……って。それは分かる。でも、それでも、わたしはそれを当然だとは思いたくない。わたしは、将来国を統べる者として自分の力が及ぶ限りは1人でも多くの人たちを救いたい。それが愚かだとか、無謀だとか言われても、わたしはわたしの力で愚かでも無謀でもない結果に導きたい。だからわたしはもっと強くなりたいし、これからも戦い続ける。自分のためではなく、国や民のために、体だけでなく、頭も心も全部使ってわたしは戦い続ける。そして、先人たちが命を賭して築いてきたサントハイムの国をわたしも変わらず守り続けてみせる。まだ見ぬ我が子に次代を託すその日まで……」

 ブライ、これがわたしの出した答えだから……。
 多分、あなたの考えていたものとは少し違うかもしれないけれど、それでもこれが、わたしが出した、答えだから。

「だからわたしはこれっぽっちも後悔していないし、自分が愚かだったとも思っていないわ!」
 わたしはなおもマスタードラゴンを睨み続けた。両拳にも力を込める。左腕にさらに痛みが走ったけれど、もうそんなことには構わなかった。
 わたしは今、神様に意見して、逆らっている。もしこの場にクリフトがいたらきっとわたしのことを制止して、諌めていたかもしれない。でも相手が誰であろうと、言うべきことは言うべきだと思ったから、わたしはそう言った。
 マスタードラゴンも氷のように冷たい瞳で静かにわたしを見ていた。怒っているような雰囲気でもないし、睨まれているわけでもない。それなのに今までに感じたことのない恐ろしいまでの威圧感に襲われた。でも目をそらすわけにはいかない。少しでもそらしたり気を緩めたりしたら、あの氷の瞳に意識が吸い込まれるのではないかとすら思えた。手のひらはいつの間にかじっとりと汗に滲んでいた。でも引き下がれない。わたしは自分の信念は曲げない。その為なら神様と戦う覚悟すら出来ているのだから。
 不意にマスタードラゴンの瞳が緩んだ。さっきまでの普通に話していたときの目に戻った。
「ハッハッハ……おまえは、この私とすら戦う気なのか? まったく、なんと勇ましい王女だ」
 鋭い牙をむき出しにして神様は笑った。まるで心を見透かされたようだった。わたしも拳にこめた力を緩めた。
「確かに、一部の強欲な人間以外ほとんど犠牲を出さずに、地獄の帝王もデスピサロをも倒したおまえには、そう言える資格があるのかもしれぬ。サントハイムの王女アリーナよ。天空の武器、防具を装備できぬおまえが、この先こうやって私と相対することはもはやないであろう。おまえはもう、今後永遠に私の姿を見ることすらないであろう。だが、私はこれからも天空からおまえの姿を見ることができる。いつでも好きなときにな。だから私は見届けよう。おまえがその覚悟を持って国を統べる姿を……ずっと、見届けていよう」
 マスタードラゴンは目を閉じて、一呼吸おいた。
「さて、そろそろおまえを故郷に送り届けないといけないな。さらばだ、勇猛なる王女よ。おまえの武運長久を祈っている」
 そういい終わると、まわりの景色がさらにまばゆくなった。ただでさえ眩しかったのに、さらにその激しさが増した。もはや目も開けていられない。目を固く閉じても瞼を突き抜けて光が差し込んでくる。たまらず手で顔を覆う。自分が光の中に融けてなくなってしまうのではないかという感覚に陥った……。


「……ま! ……さま! ひめさま!」
「……ナ……さま! アリーナ姫様!」
 どこからか、わたしを呼ぶ声が聞こえた。
「……っ」
 ゆっくり目を開くと、わたしの顔を心配そうに覗き込むブライとクリフトの姿が見えた。そして二人のはるか先には、澄み渡る青い空が広がっていた。わたしの目はまだ、直接太陽を見た直後のようにチカチカしていたけれど、空の柔らかい青は目にとても優しく感じた。どこからともなく草花の香りが漂ってくる。腕や首筋にひんやりとした草の感触が伝わる。
 わたしは地面に横たわっていた。
 地上だ、地上に戻ってきたんだ。でもここ、どこなのだろう?
 ゆっくりと体を起こすと視界に立て札が現れた。「みらいのボクの娘へ」で始まる立て札。……サランの町だ!
「ああ、良かった。意識が戻って……。もう、どうなるかと思っていました」
 クリフトは今にも泣き出すのではないかという顔をしていた。
「おぬしは心配しすぎなんじゃ」
「ブライ様も頭を抱えて、あちこち行ったり来たりなさっていたではないですか!」
「ぬぬぬ……」
 どうやら、2人の方が先にマスタードラゴンにここまで運んでもらったようだった。それから暫くして、わたしがこの場所で意識を失って倒れていたのを見つけたらしい。それで必死にわたしのことを呼んでいたんだ。
「そうだったんだ、心配させちゃってごめんね」
 そう謝ったけれど、2人ともブンブンと首を横に振った。2人の息がぴったりで、なんだかおかしい。
「わたしたち、無事に戻って来られたんだね……」
 なんとなくまだ頭がぼんやりとしているけれど、左腕の痛みはすっかりなくなっていた。腕には傷も流血の跡も何も残っていなかった。わたしが気絶しているあいだに治療してくれたのかと尋ねたら、わたしを見つけたときにはすでに治っていたということだった。それならばきっと、マスタードラゴンが治してくれたのかもしれない。

 きれいになった左腕を見た後に、何の気なしに手袋を着けていない右手に目を落とした。あの時、あの技を放つために手袋を外した、素手の状態である右手の手首にはちょっと無骨でちょっと曇った銀色のブレスレットがはまっている。
 ああ、そういえばこれは……。

『貴様、ハンババとは思えない強さだな。おい、名前は何と言う?』
『名前は……名前はモョモトだ!』
『ほほう、ハカブサ使いと同じ名か』
『……え? あな……あんた、闘神のことを知ってるのか?』
『そういう貴様も知っているらしいな。俺は以前、ひょんなことから人間の「神話」とか呼ばれる作り話を目にした。俺は人間は大嫌いだが、何故かこの中に出てきた「闘神」には惹かれた。ハカブサに憧れて俺は斧使いになったし、2回攻撃も身につけた。ちなみに、そんな俺の名前はスケサンというんだ』
『スケサンって……』
『まったく、何たる偶然よ。「闘神」と共に旅をした魔法戦士と、俺の名前が一緒だったのさ』
『魔法戦士か、だからあんたは強烈な攻撃力を誇りながらも防御呪文まで使えるんだな』
『まあ、それはたまたまだがな。そんなことよりモョモトよ、貴様、われ等の軍に加わりたいと言っていたな。だったら俺の部隊に入れてやろう。俺の部隊、第一遊撃部隊にな!』
『え? いいのか? 入れてくれるのか?』
『ああ、貴様なら即戦力になれる。きっとデスピサロ様のお力になれるだろうさ。ほら、これを受け取れ! この腕輪は第一遊撃隊隊員の証だ!』
『ありがとう! オレ、頑張るよ。あんた……じゃないな、隊長のために! (相手はわたしの上官になるのだからもっと丁寧に喋らないとダメだよね……うーん、クリフトみたいな喋り方がいいのかな) わたくしは、粉骨砕身の覚悟で自らの役目を果たして参りたく存じます!』
『がっはっは! おいおい、無理しなくていいぞ。舌を噛むといけないからな。別に俺の前では普通に喋ればいいさ! まあデスピサロ様の前ではそれなりの言葉遣いをしてもらわないといけないがな』
『(別に無理をしているわけではないのだけど……)そ、そうか。分かった。じゃあ普通に喋らせてもらうぜ』
『いいか、モョモトよ。俺のためではなく、デスピサロ様のために戦うのだ! 俺は期待しているぞ』
『ああ、任せておいてくれよ』

 ――彼は、あれからどうなったのだろう。まだどこかで生きているのかしら……。

「ここまでたどり着くまで、本当に、いろいろなことがあったよね」
 わたしはしみじみとそう呟いた。
「そうですね……誰もいなくなってしまったサントハイム城、バルザックとの戦い。エルフのロザリーさんとの出会い。予言を覆すエスターク戦での勝利」
「そして天空へと上り、闇へと下って、歪んだ進化を遂げたデスピサロとの戦い……。まことにたくさんのことがありましたのう」
「自分の部屋の壁を破って外へ出たあの日、あなた達がわたしを追いかけて来たときは正直、せっかく1人で旅が出来ると思ったのになんでこうなるの? って思ったけれど、ブライとクリフトが一緒にいてくれて本当に良かった。あなた達が一緒だったからこそ、ここまでたどり着けたと思うの。本当にいろいろと助けてくれてどうもありがとう」
 きっとわたしだけだったら、途中で進むべき道を見失っていたと思うから。
「感謝するのはわたくしの方です。助けを待つ側ではなく、助ける側に立てた。私は姫様とともに戦い抜くことが出来たことを誇りに思います」
「フォッフォッフォ、年老いたじじいには刺激的な冒険でしたわい。……姫様、城の皆が消えてしまっても、わしらには姫様という希望が残されておった。だからこそ、ここまで戦うことができたのですじゃ」
 わたしたちの誰が欠けても、ここまで来ることはできなかったってことなのかな。
「それにしても、あの棺桶の皆さんはどうなってしまったのでしょう? 私はそれが少し気がかりなのですが」
「そうじゃのう。まったく、あれだけは最後まで謎じゃったな」
 光の中でのマスタードラゴンとのやりとりを2人にも話そうかと迷ったけれど、結局話さなかった。今はなんとなくそういう気分にはなれなかった。
 もしあの5人と一緒に戦っていたら……みんなと仲良くなれたのかな。でもその機会は失われてしまった。やっぱりあれは紛れもなく、神の悪戯……。
「姫様どうされたのですか? ご気分がすぐれないのですか?」
 クリフトの問いかけにハッとしつつ、大丈夫と首を横に振った。
「そろそろ、お城へ戻ろうか。きっともう、みんな戻っているはずだから」

   ◆◆◆

 アリーナ、クリフト、ブライの3人だけで5章を進めるという今回のプレー記でしたが、やはりこの3人は攻守のバランスが良く、通常より1人少ないとはとても思えない安定感がありました。ダンジョン攻略に難儀するということも殆どなく、細かい命令が出来なくても絶望的に困るということはありませんでした。珍行動に苦笑いすることはありましたけれど。
 逆に自動回復のあるボスとの戦いは苦手でした。3人なのでどうしても与えるダメージが少なくなり、自動回復分を上回るのに苦労したことも多々ありました。
 それでもエスタークを4回、デスピサロを6回で抜けることができたのですが、何故バルザックと28回も戦ったのかは、いまだに不思議で仕方ありません。
 どうしてあの時、AIは天罰の杖を使うことを頑なに拒んだのだろう……。今回の最大の謎でした。
 クリア時レベル、38、38、37は通常プレーより若干高い程度かな? 全員30台でクリアできたことには満足しています。

 今回のプレーで分かったことは、「身かわしの服」が結構便利だったことと、AIブライが実はクリフト以上におバカだったことです。
 今までアリーナは光のドレス派だったけれど、今度からは身かわしの服にしようかなと思えるくらい攻撃をかわしてくれました。
 ブライは、クリフトのザキ同様、メダパニ連発は今に始まったことではないので免疫がありますけれど、非力なわりに打撃攻撃を連発したり、自分優先でバイキルトをかける姿に泣けました。おかしい、最初の頃は真面目に戦っていたのに。
 逆にエビルプリースト戦のマホカンタは感動して泣けました。これだけは褒めてあげたいと思います。

 一方、読み物の部分は当初、各話ごとにちょっと小ネタを入れるだけというライトな感じにする予定でしたが、バルザックと28回も戦っているうちに1本のストーリー立てになってしまいました。やっぱ自分はこの3人が好きなんだな、としみじみ、そう感じたのでした。
 まだストーリー立てにするつもりのなかった初っ端にいきなり棺桶話を書いてしまって、最後どうやってまとめるつもりなんだ? と途中から自問自答したりしましたが、自分の頭ではこれしか浮かびませんでした。完全夢オチって手もあったけれど、ここまで激闘を繰り広げておいて実は夢でしたというのは納得がいかないのでやめました。

 考えてみると、ゲームというのはドラクエに限らずプレーヤーの意思で普通にプレーしてみたり、制限をかけてキャラクターに負担を強いたり、とても高いレベルでクリアしてみたりするわけなので、プレーヤーが神みたいなものですね(高尚な意味ではなく、ゲームの世界を好きに操るという意味での神。アクション系ではクリアも出来ないヘタレ神になる可能性も秘める)。ドラクエ4にはたまたまマスタードラゴンという神様キャラが登場するので元々のマスタードラゴンというキャラクターに、悪だくみしたプレーヤー神を上乗せしたちょっと悪戯の過ぎたマスタードラゴンになってしまいました。

 最後にアリーナが導き出した「答え」は、やはり理想論だと思います。でもきっと、彼女なら高き理想も具現化することが出来るのではないかと、そういう思いを込めました。

 今回は登場するのはほぼアリーナ、クリフト、ブライだけだったのに、ブライ視点で始めてしまったばかりにアリーナとクリフトの絡みが殆どないという展開になってしまいました(元々ドラクエ4に関しては特定のカップリングに対する思い入れは特別ないのですが)むしろアリーナとブライの絡みの方が多くてアレ? って感じ(当然ながらブライ×アリーナという嗜好もありません) もう少しクリフトを活躍させることができたらよかったなぁ。ミントスで病気していたのがブライだったらクリフト視点でスタートになったのだけれど。
 ブライが人質になっていて不在であったガーデンブルグ南東の洞窟では唯一、クリフト視点で少し書くことができました。たった一話分ではありましたが、クリフトの心情に少しでも触れられたのは良かったかなと思っています。
 アリーナはどことなく求道者っぽくなってしまった気が。実際のところ自分が思い描くアリーナのイメージがこんな感じだったりするのですが。とりあえず、いわゆる「脳筋」にだけはならないようには気をつけたつもりです。ただ欲望に任せて戦いたいから戦っているのではなく、何かを目指して戦っている。そんな感じを出せたら良いなと思いながら書きました。
 ブライに関してはパーティーの良きアドバイザー的役割を目指していたのだけれど、ほぼ思ったとおりに書けたかな。だからAIとのギャップが余計に泣けました……。
 爺さん言葉を延々と書き連ねるのは結構楽しかったです。
 あと、自分で書いていてスケサンに惚れたのは秘密。……サイだけど。

 反省する点も色々とありますが、後悔はしていません。この3人の最終目的も勇者と同じ「デスピサロ」だったから話の流れはわりと自然だったのではないかと思います。3人で進めるとこんな展開になるんだぜ! と楽しく書くことが出来たし、お遊び系の話、真面目系の話、アクション風味の話など、色々な要素を入れられた(と自分では思っている)のでとても満足です!

   ◆◆◆

 わたしたちは北側から町を出て、サントハイム城へ向かうことにした。
 久々に太陽の光を浴びながら南に広がる大海原を眺めつつ、お城のある東へと歩みを進める。サランとサントハイムはごくごく近くにあるので、すぐに城へと到着した。みんなが行方不明になって以来誰もいなかった城門には2人の番兵が立っていた。
「アリーナ姫様! ブライ様! クリフト様! よくぞご無事で!」
 2人はわたしたちに気づくと硬い表情を崩した。久々に見る、2人の姿。
「ささ! どうぞ中へお入りください。国王陛下も皆も姫様をお待ちです」
 頑丈な城門が開かれる。中にはお父様が、大臣が、城仕えのみんなが大広間に集まっていた。そしてみんな、満面の笑顔で一斉にわたしたちの方を見た。
 わたしは手を振って弾けるようにみんなの輪の中へと入っていった。
「ただいま……ただいま! みんな!」

 そして……おかえりなさい! みんな!

   ―おわり―


なまえLVHPMPEx
アリーナ38322018321615528146188148492,192
キラーピアス 身かわしの服 金の髪飾り
クリフト38221146438710767114143198495,668
奇跡の剣 はぐれメタル鎧 ミラーシールド 幸せの帽子
ブライ37178185171129111214280119475,048
マグマの杖 水の羽衣 うろこの盾 幸せの帽子

<携帯閲覧用>
アリーナ LV38 H322 M0 力183 速216 体155 賢28 運146 攻188 守148 Ex492,192
キラーピアス 身かわしの服 金の髪飾り
クリフト LV38 H221 M146 力43 速87 体107 賢67 運114 攻143 守198 Ex495,668
奇跡の剣 はぐれメタル鎧 ミラーシールド 幸せの帽子
ブライ LV37 H178 M185 力17 速112 体91 賢112 運142 攻80 守119 Ex475,048
マグマの杖 水の羽衣 うろこの盾 幸せの帽子

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この記事へのコメント
毎回楽しく拝見させていただいていました。
サントハイム縛りプレイでのクリア、おめでとうございます。
お疲れ様でした。

バルザック戦の諦めない姿勢には、くじけぬ心を見せられたホフマンのような心境で拝見させていただきました。
そして、意外にも低レベルでのクリアにも驚いています。8人パーティーでも、レベル40ぐらいだったりしますから。

次にプレー記をお書きになるときは、ぜにまた読ませてください。
楽しい作品をありがとうございました。
Posted by かえさる at 2010年07月11日 07:22
はじめまして。
いつも見てくださりありがとうございます!

バルザック戦は半分途方に暮れていました。
テレビ画面に向かって何度ブライを罵倒したことか……。
改めて、8人で弱点を補い合うことの大切さを知った気がします。

私もレベル40手前でクリア出来たのにはちょっと驚きました。
メンバーを変えるとクリアレベルにどの程度変化がでるのか等、
今後色々試してみたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by タギー at 2010年07月11日 14:12
プレー記だけじゃなくて、長編の読み物のほうも楽しく読ませていただきました。おそらくプレー時間よりもずっと長い時間をかけられたのではないかと推察しています。

ブライの視点で、本編にないような細かいところまで掘り下げられていて、いつも驚いたりニヤリとしたりしながら読んでいました。

それから、今となってはプレステもDSもあるのに、敢えてのファミコンベースという、レトロ重要視にも共感を覚えました。

今更ですが、「モョモト」のくだりは爆笑しながら読んでいました。「ゆうていみやおうきむこう・・・ぺぺぺぺ」当時はこの復活の呪文で何度遊んだことか。そして、何度「ハカブサ」のお世話になったことか。

懐かしさがこみ上げてくる楽しい日記をありがとうございました。
Posted by かえさる at 2010年07月12日 05:41
そうですね、回を追うごとに読み物の部分の方が長くなっていって、ゲームでデスピサロを倒したのが先週の月曜日だったのに最終回のアップが土曜日とか、最後はそんな感じになってしまいました。
書いている最中はそうでもなかったのですが、終わってみて「あれ? 5日も経ってるの?」みたいな。

PS版もDS版もやったことはあるのですが、やはり一番最初に遊んだFC版への思い入れが強くて今も好んでFC版をプレーしています。いまだに呪いの音楽に恐怖したり(笑)

もょもとは最強でしたね。漢の中の漢です。もょもとVSアリーナとか見てみたいです。はかぶさの剣と会心キラーピアス、呪文無用のガチンコ勝負……すごい戦いになりそう!

こちらこそ、読んでくださりどうもありがとうございました!
Posted by タギー at 2010年07月12日 19:45
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