DQ4プレー記・ただ今のお題
<掃き溜めに鶴>

ルール
・4章はミネア(とオーリン)だけで進める
・5章、船取得までは勇者、ミネアのみで進める
・5章、船取得以降、トルネコ、ライアン、ブライ、ミネアで進める
・キングレオ戦、天空への塔のみ勇者使用可
・勇者は馬車内での生存状態可。アリーナ、クリフト、マーニャは棺桶
・ガーデンブルグでの棺桶人質可
・838861、8逃げ、透明気球等の裏ワザ禁止
・種や木の実類は使い切る


過去のプレー記(プレー記案内はこちら
[記念の二部作]
[01]20周年記念 [10]25周年記念
[女性勇者二部作]
[02]装備品 買わない盗まない [09]いろいろやりすぎ
[三人旅三部作]
[03]水戸黄門 [04]腹でん!(パラディン)と美人姉妹 [05]まどろみ無双
[柔剛柔の三部作]
[06]クレバーカルテット [07]益荒男四人衆 [08]クレバーカルテットDS
[勇者役トルネコの二部作](の予定)
[11]百花繚乱 [12]進行中


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2019年02月11日
本日2つ目の記事。
マーニャ&ミネアの掌編です4200字程度。


 あたしは踊り子マーニャ。キングレオ王国の南端、娯楽の街モンバーバラのど真ん中にある大きな劇場でトップダンサーを務めている。いわゆる、超売れっ子。あたしには妹が1人いて、名前はミネア。みんなには顔立ちのよく似た美人姉妹と言われるけど、姉はうるさい、妹はおとなしい、という感じで性格は正反対。だからか、「太陽と月」と例えられることもしばしば。
 ミネアはよく当たると評判の占い師で、劇場のそばに小さな露店を構えている。連日順番待ちの列ができるぐらいの盛況ぶり。
 あたしたち姉妹は元々、モンバーバラから北へ歩いて1日程度のところにあるコーミズという、何もない小さな農村で父エドガンとともに暮らしていた。でもエドガンは数年前に殺害され、その犯人を捜すためにお金と情報が必要になった。だから故郷を離れ、多くの人が集まるこの街にやってきたというわけ。

 現在、劇場宿舎の一室を借りて2人暮らし。ミネアもあたしも午後から夜半にかけての仕事だけど、より時間に融通の利くミネアが家事のほとんどをやってくれている。
「姉さんもたまには手伝ってよ」
 時々言われることもあるけど、もともと几帳面な彼女は結局自分でテキパキとやってしまう始末。
 ミネアは口数が少なく大人しい子だから家事も黙々とやっているけど、たまに、すごく機嫌が良かったりすると歌を口ずさむことがある。流行にはとんと疎いから故郷の民謡などが多いけどね。
 で、その歌が意外と上手。普段はロクに感情もこめずに淡々と喋るのに(あたしに小言を言うときは別だけど!)歌うときは意外と感情がこもっていて、声量もなかなかのもの。音程もバッチリ。声質もあたしに似てきれいだしね。あたしたちの母親が生前歌や踊りをたしなんでいたから、そういう血を彼女もしっかりと受け継いでいるのかもしれないわね。
 そんな感じで、見立てではちょっとボイストレーニングを受けて良い楽曲をもらえればステージで稼げるであろう程には上手。いざとなれば劇場一の売れっ子であるあたしがその辺の手筈をいくらでも付けてあげられる。
 そのことを前に一度、ミネアに話してみたんだけど
「無理よ、無理無理。人前で歌うなんて恥ずかしくて出来ないもの……」
 まったく興味を示すことはなかった。
 まあ、洗濯干しとか庭先の掃除とか、室外での家事仕事のときは絶対歌わないぐらいガードが固いし。勿体ないわよね。あたし結構お節介だから、何とかしてあの子を舞台に上げたいと考えちゃう。何か良い方法はないかしら。

 ある日、昼食を終えてミネアは皿を洗っていた。そこそこ機嫌が良いらしく、鼻歌を歌っていた彼女に、思い切ってこんなお願いをしてみる。
「ねえミネア。あたし、一度あんたの歌に合わせて踊ってみたいんだけど」
 それは前々から一度試してみたいと思っていたことだ。
 ミネアは鼻歌と皿を洗う手をピタリと止めて、眉をひそめた。水の流れる音だけが辺りに響く。
「……この室内で、2人きりでなら、まあ、いいわよ」
 しばしの沈黙の後、快諾とは程遠い、歯切れの悪い返事が返ってきた。
 でもそれは、OKの返事だった。
「やった! じゃあ皿拭くの手伝うわ」
「もう、こういうときだけなんだから……」
 ミネアはため息ときれいになった皿をこちらへ差し向ける。
「この皿、どこにしまうんだっけ?」
「お皿の置き場所ぐらいはちゃんと把握しててよね」
「はいはい」

 皿洗いを終え、あたしたちはリビングに立った。埃ひとつ落ちていないきれいな空間。きっとあたしが夢の中にいる間に、1人せっせと掃除をしていたのだろう。
「なんか、こうやって改まると緊張するわ」
 ミネアはそう言うと、胸に右手を当てて、一つ大きく深呼吸する。
「で、何を歌えばいいの? 私、流行の歌は分からないわよ」
「うん、それは分かってる。あれ歌ってよ、ほら、コーミズの月のやつ」
「ああ、『みなもの月』ね。それなら大丈夫」
 みなもの月というのは、コーミズの民謡。流れの占い師が水面に映った月で占いをした様子を表した歌。コーミズは農村だから、天候や作況を教えてくれる占い師の存在を結構ありがたがっている。ミネアに占いの才能があると分かったとき、村の人たちは凄く喜んだものだった。
 占い師が登場するからであろうか、数ある民謡の中でもミネアはこの曲を一番気に入っているようだった。家事の最中に歌うのもこの曲が多い。

「じゃあ、始めてもいい?」
「うん、よろしく!」
ミネアは再び深呼吸して、歌い始めた。

 明日は晴れるか嵐は来ぬか
 実りの秋は来るだろか
 夜半の月を眺めてみても
 こたえはいつも闇のなか
 やあやあなにかお困りか
 わたしが月にこたえを見ようか
 みなもの月にこたえを乞おうか
 占いは闇夜を照らす月のあかり
 きっとちからになりましょう
 ……

 この歌は静かな曲調だ。踊り向きというわけでもない。普段にぎやかな曲や激しい曲に合わせて踊ることが多いからかなり勝手は違う。でも、知らず知らずに体が動いた。不安の尽きない農民、彼らの心痛に呼応するかのように揺れるみなも、そこに現れた運命の語り部。月が示した一筋の希望の光。そんなイメージを脳裏に浮かべつつ、頭のてっぺんからつま先まで全身に神経を行き渡らせ、イメージを踊りで表現していく。この一連の流れ、考えながらではなく体が自然にそう動く。理想的なルーティン。まあ言い換えれば「すっごく気持ちよく踊れる」というやつ。これはあたしの類稀なる才能と、あとはミネアの歌声が融合した結果の産物。つまりあたしの踊りとミネアの歌の相性が抜群だということ。2人でステージに立ったら、きっと拍手喝采が巻き起こる!

 最後まで歌い上げたミネアは口をポカーンと開けてこちらを見ていた。
「姉さん……凄い、いつにもまして素晴らしい踊りだったわ! まるで本物の占い師みたいだった」
「あははっ! あんたがそう言うんならカンペキだね! ミネアの歌とあたしの踊り、多分相性ばっちりなのね。すっごく気持ちよく踊れたわよ」
 その言葉にミネアは照れくさそうにはにかんだ。
「ねえミネア、前にも言ったけどステージに立ってみない? あんたの歌なら絶対成功するって! 1人がイヤなら今みたいにあたしとコンビ組めばいいじゃない。あたしから座長に言えば話もすぐにまとまるわよ」
 あたしはここぞとばかりにミネアに迫った。このタイミングならミネアも考えを改めてくれるかもしれない、そんな淡い期待を抱いて。……でも、
「姉さん、その話なら私の気持ちは変わらないわよ」
 ミネアは一転して真顔で答えた。
「恥ずかしさなんて何度もやってれば慣れちゃうよ。ミネアは才能があるし、既に占い師として知名度も抜群。それにあたしというコネクションもある。ほかの人間よりよっぽどチャンスがあるのに勿体ないよ」
 どうにかして翻意させようと息をまくあたしをよそに、ミネアは窓を見やった。窓からは劇場の外観がよく見える。見た目は何の変哲もないちょっと大きなレンガ造りの建物だけど、ひとたび夜になれば多くの者に夢と活力を与える、きらびやかで眩しい場所。
「この町にはあの舞台に立つことを夢見て、それこそ命をかけているような人たちがいっぱいいるわ。踊り子、歌手、役者を志す人たちが私のお店にもよく相談に来る。みんな一生懸命で、必死なのがよく伝わる」
 そこまで言って、真剣な表情のまま再びこちらを向き、あたしの目をしっかりと見据えた。
「それなのに、彼らが憧れる夢の舞台に、人前で歌うことを恥ずかしいと思っている私が立つ資格などあるのかしら? 私は無いと思う。だから答えは変わらない。……ごめん」
 最後申し訳なさそうにうつむいた姿を見て、思わず笑いそうにすらなった。この子は昔からそう。バカが付くほどに生真面目すぎる。そして大人しさとは裏腹にかなり頑固でもあった。
 あの舞台にはあらゆる手段を使って好機を物にした者だけが立てる。情けや同情など無用。ライバルを蹴落としてでも夢を掴み取るんだ。ミネアだったら十分に掴み取れると思うんだけどね……。
「ねえ、姉さん」
 ミネアはこちらに視線を戻して、先ほどまでとは一転、柔らかい表情で続けた。
「そんなに私の歌声を気に入ってくれているのなら、今みたいに2人だけのときにいつでも歌ってあげるわ。私の歌声は姉さんだけのもの……それじゃ駄目かしら?」
「へ? あたしだけのもの? 独占? いや、ダメじゃない。それ、すごくいいかも……」
 あたし、予想外の振りに意表を突かれてついつい即答してしまったわ。
「本当? 良かった。じゃあ私、そろそろ仕事に出かけるわね。姉さんも夜のステージ頑張って! 行ってきます!」
 ミネアは早口で一気に喋りきると、テーブルに置かれていた水晶球を取り上げて逃げるかのように小走りで外へ出て行ってしまった。うーん、体よくまかれてしまった感じ。これは一本取られたわ。
 でも、ミネアの歌声をひとり占めか……。
「まあ、それも悪くないか」

   ◇◇◇

 それから月日は流れ、一度は失敗した父エドガンの仇討ちを、ミネア曰く「運命に導かれた仲間たち」と共に見事果たしたあたしたちは今、彼らとともに、この世界を救うという壮大な目的のために旅をしている。老若男女8人からなるメンバー。目的は壮大といえど、あたしたちも普通の人間。旅先で宿に立ち寄れば飲めや歌えの宴会になることも少なくない。
 そんな席でもミネアは相変わらず決して人前で歌うことはなかった。
「ミネアもたまには歌えばいいのに。とっても気持ちいいわよ」
「いえ、私は……」
 仲間の誘いにもミネアはただそう言って笑うだけ。
「ごめんねぇ。この子流行に疎いから歌とか全然知らないのよ」
 あたしもすかさずフォローを入れる。
「ごめんなさいね。でも私、みんなが楽しそうに歌っているのを見ているのは好きですから、どうか気にしないで」
「そうであるか! ならばわしの歌を聴かれよ!」
 酔っぱらって顔を真っ赤にしたおじいちゃんがしゃしゃり出てきた。さすがのあたしも年寄りの流行歌はよく知らないけど、こぶしをきかせてすごく気持ちよさそうに歌っている。周りも合いの手を打って盛り上がり、ミネアもまた笑顔で拍手を送っていた。

 もしミネアがこの場で歌ったら、上手くてみんなビックリするかも。
 でもあたしも、本当のことを仲間に言うことはなかった。
 だって……

 まもなく嵐が来るかもしれぬ
 三日三晩は続くだろ
 みなもの月はあかりをくれた
 道はみなでひらくのさ
 さあさあいかに進もうか
 わたしも何かちからになろう
 みなもの月に応えてみせよう
 占いは闇夜を照らす月のあかり
 きっと実りの秋は来よう

 そう、
 ミネアの歌声は、あたしだけのものなんだからね!

 おわり

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この記事へのコメント
久しぶりの作品は、ショートショートでしたか!
今回は戦いはないですが、マーニャ視点の描写で、いい味出てますね!
それに新事実。
そうか、ミネアは歌が上手かったのか!
まぁ双子説もあるぐらいだし、何をやってもいい感じにシンクロするんでしょうね(笑)

みなもの月はタギーさん作でしょうか?
この詩も素敵な詩ですね!
Posted by かえさる at 2019年02月12日 18:31
「ミネアは歌がうまい」はまったくソースが無いですが、ミネアの声優さんが歌が上手なので今回はそういう設定で書いてみました(笑)
マーニャとミネアは性格は正反対ですけど、色々とシンクロする部分はあるかもしれないですね。

これ、最初はマンガ用として考えたネタで、歌詞を付ける予定もありませんでした。でも現在同人活動もしてないし、マンガにしても載せる場がないので、文章化してこちらに載せることにしました。
歌詞はその際に作ったのですが、作詞とは全く無縁の人生を送ってきたのですごく適当です(笑)

読んでくださりどうもありがとうございました!
Posted by タギー at 2019年02月13日 07:51
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