DQ4プレー記・ただ今のお題
<掃き溜めに鶴>

ルール
・4章はミネア(とオーリン)だけで進める
・5章、船取得までは勇者、ミネアのみで進める
・5章、船取得以降、トルネコ、ライアン、ブライ、ミネアで進める
・キングレオ戦、天空への塔のみ勇者使用可
・勇者は馬車内での生存状態可。アリーナ、クリフト、マーニャは棺桶
・ガーデンブルグでの棺桶人質可
・838861、8逃げ、透明気球等の裏ワザ禁止
・種や木の実類は使い切る


過去のプレー記(プレー記案内はこちら
[記念の二部作]
[01]20周年記念 [10]25周年記念
[女性勇者二部作]
[02]装備品 買わない盗まない [09]いろいろやりすぎ
[三人旅三部作]
[03]水戸黄門 [04]腹でん!(パラディン)と美人姉妹 [05]まどろみ無双
[柔剛柔の三部作]
[06]クレバーカルテット [07]益荒男四人衆 [08]クレバーカルテットDS
[勇者役トルネコの二部作](の予定)
[11]百花繚乱 [12]進行中


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2015年07月28日
(前回のあらすじ)

大団円、大脱走

 導かれし者たち感動の大団円、を華麗にすっぽかしたトルネコ、マーニャ、ミネアの3人はミントスの町の宿屋でホフマンと再会する。ホフマンは言葉遣いを見事に矯正し、立派なホテルマンへと転身を遂げていた。
 ホフマンの大成ぶりから、話は何故かエンドールの腐れ縁用心棒コンビ、ロレンスとスコットへと飛ぶ。久々にエンドールへ行くことになったが、トルネコの希望により、まずは今までに訪れたことのないフレノールの町へ寄ることになったのであった。

   ◇◇◇

 3人はフレノールの町へとやって来た。フレノールはサントハイム王国の北東に位置する小さな町である。小さくはあるが、町のほぼ中央に位置する宿屋は立派で、かつてサントハイムの王女が宿泊したこともあったらしい。
 ところがその王女は突然何者かにさらわれてしまった。さらに、彼女は実は偽の王女だったのだ。だが、偽王女はある3人組によって見事救出された。一時期、その3人組のうちの1人こそが、本物の王女だったのではないかという噂が流れたが、結局その真相は分からないままであった。
「本物の王女ってさ、つまりアリーナのこと?」
「そういうことになるわよね。まあ、アリーナ姫だったら『偽姫救出』もあり得ない話ではないわね」
「今度お会いした時にでも確認してみますかな」
 3人は「フレノール宿屋の謎」について雑談しつつ、その宿屋へとやってきた。ミントスとまではいかないものの、町の規模には見合わない立派な宿屋であった。この世界では宿泊者以外でも自由に客室フロアに立ち入ることが出来るので、3人は宿泊はせずに、2階の客室フロアを歩いてみた。
 たくさん並ぶ客室のうち、一番奥の部屋の前へとさしかかった時、若い女性と思われる声が漏れ聞こえてきた。

「……オーリン様、…………ね」

「……んっ?! ミネア、今『オーリン』とか聞こえなかった?」
 マーニャの問いにミネアは黙って頷いた。
 ドア越しということもあり前後の会話はよく聞き取れなかったが、2人には確かに「オーリン」という単語が耳に入ったのである。

 オーリン――かつて姉妹が共に旅をした人物と同じ名前である。彼は姉妹の父、錬金術師エドガンの一番弟子だった男。エドガンを殺害したバルザックを討つべく共にキングレオ城へ乗り込んだが、仇討ちは叶わず、投獄された牢から逃げ出す際に離れ離れとなってしまったのだった。
 マーニャとミネアはその後、船でエンドールへと逃げ延びたが、勇者かおすをはじめとする運命の仲間たちと出会い、再びキングレオの地を踏む。その際に大陸中のあらゆる地を訪れ、オーリンの安否を探ったが、一向に手がかりを得ることは出来なかった。2人はオーリンの死を覚悟せざるを得なかった。
 しかし今、このフレノールの地で「オーリン」の名を聞くことになる。2人にとってそれは、まさに青天の霹靂であった。
「……どうしよっか。ねえ、こういう時占いで中の様子とか分かんないの?」
「占いは透視とは違うから……」
「そっか。じゃあ、直接尋ねるしかないね」
 言うが早いか、マーニャは客室のドアをノックした。
 突然の出来事に相手は困惑しているのだろうか、部屋からは返事もなければ、誰かが来る気配も感じなかった。
 今度はミネアがノックする。すると漸く、誰かがやってくる気配を感じた。
「……どなたであろうか?」
 相手を警戒するかのような低い声ではあったが、それは、よく聞きなれた男の声であった。マーニャとミネアは思わず喜色を浮かべ、互いの顔を見た。
「オーリン? エドガンの弟子のオーリンだろう? あたし、エドガンの娘の……」
「あぁっ! ま、まさか」
 そう聞こえた途端、ドアが開かれた。目の前には杖をつき、身体のあちらこちらに包帯が巻かれてはいるが屈強な体格の男の姿があった。まさしく、かつて共に旅をした、亡父の弟子・オーリンであった。
「マーニャお嬢様、ミネアお嬢様……よくぞご無事で!」
「オーリン! 生きていたんだ! 良かった……」

 キングレオ城からマーニャとミネアを逃がした後、オーリンは足止めのために城の兵士たちと戦い、瀕死の重傷を負った。もう自分は死ぬかもしれないと思ったとき、1人の若い女性が、男に追われながら城から飛び出してきた。オーリンは最後の力を振り絞り、男から女性を救った。力を使い果たしもはや動くことも出来ないオーリンであったが、女性が持つキメラの翼によってこのフレノールの町へと逃げ延び、女性の必死の介抱により一命を取り留めたのであった。
 最初に聞こえてきた声。その声の主がオーリンに助けられたという女性であった。
 オーリンに招かれ、彼女もドアの方へとやって来た。
「はじめまして。わたし、ミーナといいます」
 ミーナと名乗った女性は姉妹よりは小柄であったが、よく通る声をしている。年齢はミネアと同じ程度で、旅の踊り子をしているという話である。興行で様々な地を巡り、キングレオにやって来た時に、例の進化の秘法に関する実験に巻き込まれそうになったらしい。このフレノールの町はかつて興行で訪れた場所だという。

「そうか……ミーナのおかげで、オーリンは助かったんだね。ミーナはオーリンの命の恩人なんだ。オーリンを助けてくれてどうもありがとう」
 マーニャと、ミネアも深々と頭を下げた。
「そ、そんな、とんでもないです。わたしこそ、オーリン様に命を助けられて……オーリン様がわたしの命の恩人なんです」
 ミーナは顔を真っ赤にしていた。その隣りでオーリンも頭を掻きながら照れくさそうにしていた。
 ――なんだ、結構お似合いじゃないか。
 そんな2人の姿を見て、姉妹は心を和ませた。


オーリンと再会

 マーニャとミネア、付き添いのトルネコも部屋に招かれ、奥へと入った。オーリンの傷はまだ完全に癒えているわけではなく、普段はベッドに横たわっていることが多いという。しかし今、懐かしい来客を前に、オーリンは椅子にゆっくりと腰を掛けた。
「オーリン、無理しないで」
 ミネアが気にかけるも、オーリンは笑顔で大丈夫ですと答える。
 マーニャとミネアは仇のバルザックを討ち取ったこと、デスピサロを倒し、父エドガンが見つけ出した進化の秘法を再び封じ込めたことをオーリンに伝えた。
「バルザックのヤツは相変わらずだったよ。断末魔の叫びが『あろはっ』だったんだ。小物感満載だろう?」
「まあ! オーリン様がやっつけてくれた男の叫びは『はろわっ』だったから、あまり変わりませんね」
「あはっ、ホントに? キングレオの関係者ってそんなのばっかだねぇ」
「キングレオ自身は(4回くらい倒したけれど)そういう叫びはなかったわよね。曲りなりにも王子だったわけだし、多少は気品も残っていたのかしら?」
 女性陣の談笑をオーリンは心穏やかに見守っていた。姉妹の報告はオーリンを心から安堵させるものであった。
「マーニャ様、ミネア様……本当によく頑張られました。きっとエドガン様も天上からお喜びになっておられることでしょう」
「そうだね。仇を討って父さんが戻ってくるわけじゃないけど、でも、これで少しは、父さんも浮かばれたのかなって、そう思うよ」
 いつになく神妙な顔でマーニャは答えた。ミネアもただ、何度も頷いていた。

「あんまり長居しても身体に障るだろう。あたしたち、そろそろ行くね」
 しばらく雑談した後、マーニャたち3人は立ち上がり、帰り支度を始めた。
 支度を終え、帰り際、
「オーリン、式を挙げるときはあたしたちも呼んでね。こっちのオジサンも招待すれば、きっと祝儀も弾むわよ」
 マーニャはニヤリと笑ってオーリンに言った。
「いいっ?! お嬢様、そ、そんな、まだそこまでは」
 慌てふためくオーリンを見て「満更でもなさそうだ」とマーニャは笑った。
 オーリンの隣りで同じく真っ赤な顔でうろたえているミーナにも言葉をかけた。
「ミーナ、オーリンのこと、よろしくね。こいつ、とってもイイ男だから。師匠の娘であるあたしが保証するよ」

   ◇◇◇

「しかし、まさかオーリンがこの町にいたとは、盲点だったわ」
「本当ね。もしトルネコさんの提案がなかったら私たち、分からずじまいだったかも」
「はっはっは。ミネアさんは占い師なんですから、いざ探そうと思えばいずれは分かったのでは?」
「そうかもね。さすがにみんなと旅している最中には、そんなこと出来なかったけどさ」
 3人は宿屋を出て、そんな話をしながら町の中をぷらぷらと歩いていた。
「対岸から『どんな街なのだろうか?』とずっと思ってきましたが、いざ来てみると、レイクナバとあまり変わらない感じですなぁ」
「逆にこの町の人たちも、対岸にある街はどんな場所なのだろうと思いを馳せているかもしれませんね。実際私はレイクナバへは行ったことがないので、そういう心境です」
 フレノールから対岸にかすかに見えるレイクナバの町並みを眺めつつ、トルネコとミネアが会話していたが、平凡な街には興味の薄いマーニャはもはや退屈で仕方ないようだ。
「ねえ、いつまでここにいるつもりなの? そろそろエンドール行かない? ヒマで死にそう」
「結局、姉さんの方が早くエンドールに行きたいんじゃない。私はもう暫くここにいてもいいぐらいだわ。のどかで良いところだし。せっかくだからレイクナバにも行ってみようかしら。ねぇ、トルネコさん」
 先ほどのお返しとばかり、ミネアが攻勢に出た。
「はっはっは、良いですがレイクナバも特に何もない町ですよ」
「えーん。あたしが悪うございました」

   ◇◇◇

 結局はマーニャの希望通り、3人は気球に乗ってフレノールの町からエンドール城下町へと移動することにした。
 久々のエンドール城下町は心なしか、いつもより人の数が少ないように見える。
「いい加減、王女サマの結婚式にも飽きたってことじゃないのー」
「まだ続いているって驚きね。一体いくらお金がかかっているのかしら。これって公費で賄っているのでしょう?」
「まあまあ、ミネアさん。それは言わないお約束ということでひとつ」
「確かに、野暮なことでした」
 トルネコもミネアも、思わず苦笑した。
「とりあえず宿屋に行ってみる? あそこに行けばまず間違いなくヒマそうなロレンスがいるはず」
 3人は宿屋の2階へと行ってみた。


ロレンスと再会

 2階のいつもの部屋に予想通りロレンスはいた。暇そうにしていたのもこれまた予想通り。
「マーニャ! ミネアさんに……あれっ、トルネコさんも?! 皆さんお知り合いだったのですか?」
「えぇ、旅の途中で知り合ったのですよ。ところでロレンスさん、お仕事の方はいかがですかな?」
「トルネコさんの斡旋のおかげでしばらくは忙しかったし、マーニャとも一山当てましたけどね。それ以後はサッパリですよ」
 ロレンスは両手を広げ、肩をすくめた。
「サッパリなくせに、相変わらずこんなトコで優雅に過ごしてるワケね」
「幸い僕は倹約家で、お金の方はまだ残ってますからね」
 宿屋暮らしのどこが倹約家なのかしらとミネアは思ったが、口には出さない。
「ところでマーニャ、エンドールに戻って来たということは、大きな仕事は終わったのかい?」
 マーニャは得意げに頷いた。
「そうですか! おめでとう。じゃあまた、僕たち一緒に仕事できるのかな?」
 期待を込めてロレンスが尋ねる。
「そうだね、また一緒にやりたいねぇ。約束通り、一度座長に掛け合ってみるよ」
「本当かい? いやあ、嬉しいなぁ」
 ロレンスは顔を輝かせた。

「ところでミネア。あんた、ロレンスになんか聞きたいことあるんじゃないの」
 先ほどから一歩下がった場所で話を聞いているだけのミネアに、マーニャは話を振ってみる。しかし、当のミネアにはその意味が分からず怪訝な顔をしていた。
「おいおい、あんたも意外と天然だね。スコットのことだよ」
「あぁ、そうだったわね」
 ようやく合点のいく表情を見せたミネアにロレンスは思わず吹きそうになったが、我慢しつつマーニャの代理質問に答えた。
「スコットですか? 彼も最近ヒマみたいで、城主催の公開講座によく参加したりしてるようです」
「へぇ、公開講座にねぇ。どんな内容のものですかな?」
 トルネコは興味深そうに尋ねた。
「確か……暫く前まではよく畑作支援の講座に参加していたみたいですけど、最近はもっぱら酪農の講座を受けているとか言ってましたね。けっこう熱心そうなんですよねー」
 その言葉に、ミネアはハッとした。
「何ソレ、用心棒やめて牛飼いにでもなるつもりなの?」
 マーニャも驚きを隠せないようだ。
「僕も前に聞いてみたんだけど、今すぐに用心棒をやめるわけではないみたいです。詳しくは分からないけど、いわゆる『セカンドキャリア』のために受けてるのかなぁ。でもスコット、前はあんなに農作業とか毛嫌いしていたのに、随分と張り切って、一体どういう風の吹き回しなんですかね。今日も次の講座の申込に、城の方へ行ってるはずですよ」
「ちょっとミネア聞いた? あの用心棒、いずれ牛飼いになるっぽいわよ。一体どういうワケなんだか」
 マーニャがミネアの方を見ると、ミネアはニコニコと笑っている。
「何がおかしいのさ? ……あ! まさか、あんた何か変なことでも吹き込んだのか?」
「何それ、人聞きの悪い。変なことなんて吹き込んでないわ。前にちょっと占って差し上げただけ。その時の提案を参考にしてくれたんだって、占い師冥利に尽きると思ったのよ。守秘義務があるからそれ以上のことは言えないけどね」
 ミネアは涼しい顔で答えると、
「私、ちょっとお城へ行ってくる! トルネコさんも行きましょうよ! スコットさんに会うのは久しぶりでしょう?」
 軽やかにトルネコの方へ振り向き、その手を取りながら弾けそうな笑顔で誘った。普段感情を抑えた言動が多いミネアが、これほどまでに嬉しそうな表情を見せるのは初めてではなかろうかと、トルネコには感じられた。
「そうですな。では挨拶だけでも」
「じゃあ姉さん、トルネコさんと2人で行ってくる。用が済んだら下のロビーにいるから、ロレンスさんとどうぞごゆっくり」
 ミネアはいたずらっぽく言うと、トルネコと一緒に部屋を出て、1階へと降りて行ってしまったのだった。
「一体、何がどうなってんだか」
 マーニャとロレンスは思わず顔を見合わせた。

   ◇◇◇

 トルネコとミネアはエンドール城内へとやって来た。いわゆる「役所」的な業務は1階で行われている。その1階を一通り歩いてみるも、スコットの姿は見当たらなかった。
「どうやらこの階にはいないようですな。2階は謁見の間なので、余程のことがない限り行くこともないはずです。となると、地下にいるかもしれませんな」
 城の地階には食堂があり、城勤めの者以外でも飲食が出来るようになっていた。トルネコたちは1階奥の下り階段から地階へ降りた。食堂へ立ち入るとトルネコの推測通り、そこにはスコットの姿があった。スコットの席には空き皿がいくつか並んでいる。ちょうど食事を終えたところのようである。

スコットと再会(のつもり)
(ちなみに、この兵士グラの人は本当はスコットではありません。ED世界にはスコットは存在しないのですが(普段の持ち場がトルネコ邸の付近であるため)話の都合上こちらの彼をスコットということにしました(笑))

「スコットさん、お久しぶりですな」
 不意に懐かしい声を聞き、スコットは驚いた表情を見せる。
「おお! トルネコの旦那。……それに、ミネアさん!」
 トルネコの後ろにいたミネアの姿を見てスコットは更に驚く。ミネアは笑顔でスコットに会釈した。
「もしかして、ミネアさんが探していたという仲間の1人が旦那だったのか?」
「まあ、そういうわけです。ロレンスさんにもお会いしましたが、やはり驚かれてましたよ。いやはや、縁とは本当に不思議なものですな」
「そうだったのか。でも旦那なら選ばれて何の不思議もない。あなたはそこらの商売人とは全くスケールが違ったからな」
 スコットは納得の表情でひたすらうんうんと頷いていた。
「そうそう、旦那からいただいたこの鋼鉄の剣は素晴らしい! 量産品とは思えない切れ味だ。惜しむらくは、この剣を振るう機会になかなか恵まれないことなのだが」
 剣を鞘から抜き、スコットは熱く語った。ちょうど空き皿をさげにきた店員は一瞬ギョッとしたが、すぐに平静を装い自分の仕事を続けた。
「その剣はトルネコさんが贈られたものだったのですか?」
「ええ、まあそんな大げさなものでもないんですがね。そう、スコットさん。ミネアさんも旅の間、見事な剣さばきを披露されてましたよ」
 トルネコは、はぐれメタルの剣を手に颯爽と戦っていたミネアの武勇伝をスコットに伝えた。ミネアは照れながら否定していたが、スコットは城下町のゴロツキ共に怯むことなく立ち向かった彼女の姿を知っているだけに、あながちあり得ない話でもなかろうと思えた。
「さて、スコットさんの元気そうな姿も見られましたし、お2人で色々とお話ししたいこともあるでしょう。ワタシはひとまず家に戻るとしますか」
 トルネコは2人に気を遣い、その場を離れることにした。
「ミネアさん、もしよかったら、後でマーニャさんと家の方に寄ってください」
 ミネアが返事をすると、トルネコは手を振りながら1階へと上がっていった。

   ◇◇◇

「ミネアさん、良かったら座りませんか」
 スコットに促され、ミネアは向かいの席に腰かけた。食事を終えたスコットは珈琲を頼もうと思っていたようで、ミネアにも何か頼まないかと尋ねる。ミネアはメニュー表を手に取り、一通り眺めた。
「カフェ・オ・レにしようかしら」
 スコットは店員を呼び、ブレンド珈琲とカフェ・オ・レをオーダーする。
「カフェ・オ・レがお好きなのですか?」
「はい。実は大好きなんです。姉には『ミルク入りが好きとか、まだまだ子どもね』とよく言われるのですが」
「ハハハ、お姉さんは手厳しいですね」
 なるほど、と思いつつ、スコットはミネアの姿を眺め、別の問いかけをした。
「お父上の仇は、討つことができたのか?」
「おかげさまで」
 ミネアは笑顔で頷いた。
「そうか、それは良かった。きっと本懐を遂げるまでに、俺が想像も出来ないような様々な苦労があったのだろうな。
 ミネアさん。エンドールにいた頃に比べて、少し痩せられましたね」
 そう指摘され、思わず天空城での一幕が蘇る。確かに様々な苦労があったが、その大部分が自分の勘違いだったことを思い出し、苦々しくなった。
「ええ、本当に少しだけなんですけど。でも、大勢の仲間と旅をしてきましたけど、そう指摘されたのはスコットさんで2人目なんですよ。1人目の彼女は天空人だったから、『地上人』では、スコットさんが初めてですね。気にかけてくださって、ありがとうございます」
『1人目の彼女』ということは、『地上人』だけでなく『男』で気づいたのも俺が初めてということか……。
 ふとそんなことを考えていた自分に、スコットは可笑しくなってしまった。
「いや……俺は久々にあなたに会ったから、以前との違いがよく分かったのかもしれないな。それより体調の方は大丈夫なのですか?」
「はい、大丈夫です。長旅も終わって、体重の方も徐々に戻ると思います」
「なら良かった」

「ところでスコットさん。先ほどロレンスさんから伺ったのですが、あなたは今、お城の公開講座によく参加されているのだとか?」
 ロレンスのヤツ、相変わらずおしゃべりだな。そう思いつつ、スコットは首を縦に振る。
「以前あなたに占ってもらって、俺も自分の身の振り方を真剣に考えるようになりましてね。今この国では一次産業にも力を入れようとしているらしく、結構その手の講座が多いのです。それで、試しに参加してみることにしたら意外と面白くて。最近ではちょくちょく参加しているのですよ」
 ミネアは微笑みながら、興味深そうにスコットの話を聞いていた。
「最初の頃は馴染みも深い畑作の講座を中心に出ていたのだが、試しに酪農系の方も受けてみたら、どうもこっちの方が俺に合っているんじゃないかと思いましてね。ガキの頃、近所の牛飼いに憧れた時期もありましたしね」
「そうだったのですか」
「もちろん、今の仕事もまだ捨てがたいという思いもある。だが、最近は仕事量にムラがありましてね。冷静に考えてみると、肩のことを差し引いても、安定して長く続けるのは難しい職種のようにも思えてくる。
 新しい道に魅力を感じているのは確かだが、今の仕事とどう折り合いをつけるか……あなたの提案のように兼業という形で続けていくのか、それともすっぱりと見切りをつけるのか、まだ明確な結論は出せてはいません」
 ミネアは黙って話に耳を傾ける。
「だが1つ言えるのは、あなたの助言のおかげで人生の選択肢が大きく広がったということです。こんな歳になっても、この先の人生に悲観することなく、夢を多く持つことができている。本当にありがたいことだ」
「私の占いや提案は単なる『きっかけ』に過ぎません。スコットさんはそのきっかけを元に、ご自身で色々と考えられ、前向きに行動されている。占い師として、これほど喜ばしいことはありません」
 2人はしばしの間、互いに見つめ合い、微笑み合った。
「ミネアさん。今日久々にあなたに会って、ますます牛飼いの道へと心が傾いてきたんだ。新しい夢が1つできたんでね」
 ミネアは不思議そうにスコットを見る。
 スコットはコップに少し残っていた水を飲み、話を続けた。
「それはいつか、俺が育てた牛から採れたミルクで、あなたにうまいカフェ・オ・レを淹れること、です」
「えっ……」
 思いもよらぬ言葉に、ミネアは唖然として言葉を失ってしまった。
 しばしの沈黙にスコットも思わず息を呑んだが、程なくしてミネアは笑顔を取り戻す。
「まさか、そんな風に言っていただけるなんて……凄く嬉しいです。その日が来ることを、私、今から心待ちにしています」
 その柔らかな笑顔にはほんのりと赤みがさしていた。
「ありがとう。これで次の講座にも、いつも以上に身が入るというものだ」
 スコットも白い歯を見せ、握った拳に力を込めた。

「ミネアさん。次の講座は5日後にあります。それまでのあいだ色々と準備があるのですが、それが終わったら、以前約束した通り川辺の散歩に出掛けませんか?」
「はい、喜んで」
 それは以前果たすことが出来なかった、しかし、いつか必ず果たそうと誓い合った約束であった。
「その時は是非、講座のお話も聞かせてくださいね。当日はお弁当を用意して伺いますから!」
「おお! それは楽しみだ!」
 大喜びの表情を見せるスコットに、ミネアは穏やかな笑みをたたえ、そっと右手の小指を差し出した。スコットも今度は笑顔を崩さず、スッと右の小指を差し出す。
 2人はテーブルの上で、あの時と同じ、互いの小指を絡め合った――

「お待たせいたしました。ブレンド珈琲とカフェ・オ・レです」

   ◇◇◇

 それぞれロレンス、スコットと別れたマーニャとミネアはトルネコの家に立ち寄った後、気球でモンバーバラへと戻ることにした。
「ミネアちゃん、モンバーバラに戻ったら早速執事喫茶に連れてっておくれ」
 こちらもなかなか果たすことが出来なかった、しかし、いつか必ず(マーニャが一方的に)果たしたいと願った、姉妹間の約束であった。ただし「指切り」はしていない。
 ようやく実現が近づき、マーニャの頭の中はもはや執事喫茶のことでいっぱいである。
「えぇ、いいわよ。でも、座長さんにロレンスさんの話をすることが先じゃないの?」
「そんなの、執事喫茶に行ってからでも遅くはない!」
「ああそう。ところで執事喫茶って場所はどこ?」
「酒場の裏手よ」
 マーニャは嬉々として、詳しい場所を図解でミネアに説明した。
「ふぅん、そんなところにあったんだ。全然知らなかったわ。その手のお店って流行り廃りが激しそうだけど、今でも営業しているの?」
 約束はしたものの、ミネアは執事喫茶には全然興味がないようだ。さすが「羊喫茶」と勘違いしていただけのことはある。
「当たり前じゃん! あそこは大人気のお店で、あたしら踊り子仲間のあいだでは憧れの的だったんだから! なのに場所も知らなかったなんて、あんたは時勢に疎すぎる!」
「はいはい、悪かったわね。で、そこではカフェ・オ・レは飲めるの?」
 喫茶というからにはあるのかもしれないが、念のため尋ねてみた。
「あんたソレ、ほんとに好きねぇ。あるんじゃないの? もしなかったとしても、あの店ではあたしたちは『お嬢様』なワケだし、執事はお嬢様の要望にはなんでも応えてくれるはずだわ!」
 マーニャの瞳がキラキラと輝いている。そんななかミネアは……

 ――奢るとは言ったものの、そのお店、法外な料金を請求したりしないわよね。

 1人にわかに不安になるのだった。

   ◇◇◇

 ようやくモンバーバラにたどり着き、町の中へ入ると、町中から光の速さで住民たちが集まり、2人の帰還を歓迎した。つい最近かおすと3人で戻ったときとまったく同じような歓迎ぶりである。
「ちょっ! いくらあたしたちが人気者だからって、そう何度も何度も熱烈歓迎してくれなくてもいいのにー。これじゃあ執事喫茶に行けないじゃない! ちょっと通してよぉー」

人気者はツラいわね
(ここから先、劇場にも酒場にも行けません)

 しかし、あまりの人だかりに先に進むことままならない。
「姉さん、これでは酒場の方へ行くのは無理よ。仕方ないからほとぼりが冷めるまで実家へ戻ってましょう。父さんにオーリンが無事だったことも報告しないと」
 ミネアはどこか安堵した様子であった。
「あーもう、あたしは一刻も早く執事喫茶に行きたかったのにー! 『おかえりなさいませ、お嬢様』って言われたいのにー!」
「じゃあ実家に着いたら私が言ってあげるわよ、お嬢様」
「いらんわ!」
 不満を垂れ流すも、この状況ではコーミズの村へ避難するよりほかになかった。

 2人は一旦モンバーバラを出て、北のコーミズへと向かった。

 そして、再び故郷の村へと戻って来た2人を待ち受けていたのは……

姉妹二組
(あれ? 誰かいる ??)
恐 怖 の フ リ ー ズ
(ぎょえええええええ!)

 世にも恐ろしいフリーズであった。

「ぎゃーーー! 何よこれーーー! あたり一面真っ赤っかーーー!」
「お気の毒だけど、これでは執事喫茶へは行けそうにないわね、お嬢様」
「お嬢様言うな!」

 −おしまい−


ちなみに、フリーズはしましたが冒険の書は消えませんでした。これでルールの1つ「冒険の書が消えるような無茶はしない」もしっかり守ることができました(笑)

さいわい ぼうけんのしょは きえませんでした
(フリーズを経ても冒険の書が3つ残っている状態です)

最後までお付き合いありがとうございました。プレー面でも書き物面でもいろいろやれて楽しかったです。

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この記事へのコメント
なんと!?(@_@)
エンディングでまさかのフリーズオチとは!!(笑)
「お気の毒だけど・・・」と言ってしまうのも当然ですね。
しかし、こんな衝撃かつ斬新な結末になるとは予想だにしませんでした!!
まるで竜王に世界を半分もらったようなエンディングですね!(じゃあ斬新じゃなかった)

オーリンだけでなく、ロレンスやスコットの後日談も素敵なエンディングになってますね。
スコットとミネアの掛け合いがとても好きです。
牛飼いになろうとするスコットの話に、ジーンと来てしまいます。ミネアにカフェオレを作ってあげたいから、心温まる素敵な動機ですね。
もしかすると、そのカフェオレは青春の味になりそうです。

ルーシアといがみ合っていたのが懐かしいほどに、ミネアが明るくなって(元に戻ったのですかね?)、なんかイイですね。

そんないいエンディングの中、まさかのフリーズとは。笑いの神様は竜の神様よりも全能かもしれないですね。

ところで、
町から町への移動は、プレイヤーの意思で動いているんですか?エンディングの流れの、自動的な移動ですか?
マーニャとミネアのドッペルゲンガーが出てたり、モンバーバラの人々はマーニャたちを囲んでなかったり、それに、エンディング中には勇者は出てこなかったんですっけ?
どういう状態なのでしょう??

あと、オーリンを介抱している女性は、ミーナという名前がついていたんでしたっけ?
ミーナって、富永みーなしか思い出せません(笑)
Posted by かえさる at 2015年07月29日 00:09
確かにDQ1のバッドエンドのようなオチですね(笑)
フリーズ画面にはいろんなパターンがあるようで、もっとおぞましい画面がくることを期待していたのですが、赤一色という、わりと平凡な画面でした。
とはいえ、これもリアルタイムで見たときはかなり怖かったです(((゚Д゚)))

4.5章と銘打って6話分費やしたので、その後日談を書けて満足しています(*´д`*)
ミネアは今回「リメイク色」を極力排除したので、変人度は多少減ったはずです(笑)
洞窟マニアのミネアの場合、「川辺の散歩」が「洞窟散歩」だったかもしれませんね。
ファンになって今秋で5年になりますが、彼女の性格は自分の中でまだ固まり切っていません(^^;)

カフェ・オ・レ云々のネタは牛乳を飲んでいた時に浮かびました(笑)
「好きな飲み物」をカフェ・オ・レにするかロイヤルミルクティーにするかでも迷いましたが、そういうことを考えるのも面白いですね。

ED世界では乗り物で移動できる場所でしたらプレーヤーの意思で自由に動けます。
例えばモンバーバラに入ったとき、そのまま上に進むと民衆にハマりますが、横に動かせばハマりません。
詳しくは前回(第5章・おまけ2)にも書きましたが、行動によってフリーズする城・町もあります。
入ってからフリーズまでの時間が一番短いのが多分コーミズで、今回フィナーレの場所に選んだというわけです。
今回の記事の中にコーミズの画面があります。画像では切れてしまって写っていませんがマーニャの右隣に勇者がいます。

オーリンを介抱する女性はゲーム内では名前は出てきません。自分で勝手に付けました。「マーニャ」と「ミネア」の中間っぽい雰囲気にしてあります(笑)
いつだか出てきた「使者のシーシャ」と大して変わらない名づけレベルです(^^;)

冨永みーなさんといえば「ダイの大冒険」のマァム!
武闘家になる前の「僧侶戦士」という肩書が好きです。
Posted by タギー at 2015年07月29日 08:17
そういえば、マァムと同じ村にいた女の子の名前はミーナだったような気もします。
テンペの村にいたのは・・・ニーナですかね。

今回のプレー記も大作でしたね。
また楽しませていただきました。
ありがとうございました(^o^)/

これで、しばらくはお休みになってしまうのでしょうか。
次の記事やプレー日記更新のときには、ぜひまた見に来ますね!
Posted by かえさる at 2015年07月29日 13:50
今ちょっと調べてみたら、マァムと同じ村のミーナいました!
残念ながら顔は分かりませんでしたが(´・ω・`)
そうです!テンペ村長の娘さんはニーナです。
あと、DSの北米版DQ4のミネアもどうやらミーナという名前のようです(綴りは「Meena」)
なんかややこしくなってきた(笑)

こちらこそ、今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました(*´д`*)
かえさるさんの方の冒険日記も楽しみにしてますね!
(そういえばいよいよDQ11も発表になりましたね)

そうですね、プレー記は秋ごろまでお休みの予定です。
次でちょうど10回目なので普通のプレーをやってみようかなと思います。
同じゲーム10回ではもはや話のネタも尽きた感がありますが、とりあえず通常プレーでミネアは実用に耐えられるのか試してみたいです(笑)
ミネアファンになってから「通常プレー」をまだ一度もやったことがないので(!)、使おうと思えば使えるキャラなのかよく分からないんです。それまでずっと馬車暮らしでしたし(^^;)

そのときはまたよろしくお願いいたします<(_ _)>
Posted by タギー at 2015年07月29日 19:56
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