DQ4プレー記・ただ今のお題
<掃き溜めに鶴>

ルール
・4章はミネア(とオーリン)だけで進める
・5章、船取得までは勇者、ミネアのみで進める
・5章、船取得以降、トルネコ、ライアン、ブライ、ミネアで進める
・キングレオ戦、天空への塔のみ勇者使用可
・勇者は馬車内での生存状態可。アリーナ、クリフト、マーニャは棺桶
・ガーデンブルグでの棺桶人質可
・838861、8逃げ、透明気球等の裏ワザ禁止
・種や木の実類は使い切る


過去のプレー記(プレー記案内はこちら
[記念の二部作]
[01]20周年記念 [10]25周年記念
[女性勇者二部作]
[02]装備品 買わない盗まない [09]いろいろやりすぎ
[三人旅三部作]
[03]水戸黄門 [04]腹でん!(パラディン)と美人姉妹 [05]まどろみ無双
[柔剛柔の三部作]
[06]クレバーカルテット [07]益荒男四人衆 [08]クレバーカルテットDS
[勇者役トルネコの二部作](の予定)
[11]百花繚乱 [12]進行中


※当ブログで使用しているゲーム画像の著作権は株式会社スクウェア・エニックスが所有しています。当該画像の転載はご遠慮ください。

2014年12月16日
 その日の午後も、ミネアの店は大盛況。相変わらず露店の前には長蛇の列が出来ていた。ミネアはテキパキと的確に、かつ丁寧に客をさばき、スコットもまたゴロツキどもが近寄ってこないか、露店の前を歩いたり、ときに木立に寄りかかりつつ、さり気なく穏やかにふるまいながらも、眼光は鋭く辺りを見張った。スコットがいることで、最近ゴロツキたちもすっかり近寄らなくなったが、隙を見せればすぐさま姿を現し、ミネアの邪魔をするであろう。油断は禁物である。
 城内で連日続く結婚の儀式は今日も終わり、街に昼間に劣らず賑やかな夜が訪れた頃、珍しくミネアの店に客足が途絶えた。客をさばき続けることで街の喧騒を忘れることが出来るというマーニャの言葉を思い出したスコットは、あたりにゴロツキが隠れていないかを確認しつつ、露店へと入った。ミネアはどこか落ち着かない様子で椅子に座っている。
「客足が途絶えるなんて珍しい」
「そうですね。何かのめぐり合わせなのか、ときどきこういうこともありますよね。でも、ちょっとした休憩になって良いのかも」
 そうは言うものの、ミネアの表情は冴えなかった。そんなミネアを見て、スコットはあることが頭に浮かんだ。
「そうだミネアさん、休憩が済んだら、俺を占っていただけないだろうか?」
 スコットの言葉に驚きを見せたミネアだったが、すぐに笑顔になった。
「勿論です。今すぐでも構いませんよ」
 ミネアに促され、スコットは客用の椅子に座り、ミネアと相対した。2人の間にはミネアがいつも大事にしている水晶球が専用の台の上に鎮座している。初めて占いというものを受けるスコットはにわかに緊張してきた。
「それでは、どのようなことをお知りになりたいですか?」
「俺は今のこの用心棒という仕事を気に入っている。だが、三十路を過ぎた今、果たして生涯続けられる職業であるのだろうかと悩むこともあるのです」
 用心棒の仕事は今のような街中での仕事だけではない。ときには洞窟に潜ったり、凶悪な魔物と戦うこともある。今はまだ若く、気力も体力も充実している。剣の腕も、咄嗟の判断力も、他の同業者より上であるという自負もある。しかし、ある程度の年齢がきて体力が衰えてきたときに、どのくらい経験でカバーできるのか、今と同じような働きが出来るのかと考えることも少なくはない。だからミネアが占い師だと知ったときに、いつか見てもらえればと、スコットは思っていた。
「わかりました」
 ミネアは一言答え、水晶球に視線を移した。手をかざすと水晶は鈍く輝きだし、ミネアの顔を光が照らした。真剣な眼差しと相まって、それは鬼気迫る表情にすら見え、スコットは思わず息を飲んだ。水晶には何かが映し出されているのだろうかと視線を移すも、スコットにはただ光を放つ水晶の球にしか見えない。一体ミネアには何が見えているのか、心臓がドキドキと高鳴った。どんな魔物と相対するよりも緊張するような感覚。自然と強く握られた掌がじっとりと汗に濡れた。
 暫くすると水晶の光はおさまり、ミネアの表情も穏やかなものに戻っていた。
「あなたは以前、右肩に深い傷を負っていますね」
 スコットは思わず目を見開いた。

 ――たしかに、俺の右肩には傷がある。

 スコットはかつて、用心棒としてとある洞窟に潜ったときに、悪霊の乗り移った剣・人食いサーベルの攻撃を受け、右肩に大怪我を負った。やはり同行していたロレンスの治療呪文により命を落とすことはなかったが、肩には今も傷跡が残っている。もちろん普段は衣服に隠れているのでミネアも見ようがなかったし、右腕も不自由なく動かせている。しかし、それをいとも簡単に見抜かれてしまった。スコットは恐怖さえ覚え、思わず左手で右肩に触れた。
「今現在、腕を動かすこと、剣を握って戦うことに特に支障はないようですが、しかし、時々傷が疼いたりしませんか?」
「確かに……」
「おそらく当時の治療が不完全だったのでしょう」
 たしかにロレンスは治療の専門家ではないから、あり得ない話ではない。あのときはあくまで応急処置だった。本当はその後に専門家にしっかりと治療してもらえば良かったのだろうが、あの頃は忙しかったし、若かったこともあり、動くのだから問題ないと甘く見ていた面もあった。実際数年経った今でも、腕は普通に動かせている。やはり問題はあったのか……スコットは頭の中であれこれと思案をめぐらせた。
「俺の右肩は、この先どうなるのだろうか」
 視線を落としながら吐き出した問いかけに、ミネアは暫く間をおき、言葉を選びつつ、答えを出した。
「今すぐどう……ということはありません。この先、ある程度の時期までは今までどおりの任務もこなせるはずです。でもやはり、年齢を重ねるにつれ、その傷はネックになっていくでしょう。そうなると洞窟探検や魔物と渡り合うような激しい任務は厳しくなるかもしれません」
「そうですか……」
 スコットは少なからずショックを受けた。同時に、最大の商売道具である己の身体のメンテナンスを怠ったことが腹立たしかった。
 口には出さずとも落胆の表情を滲み出すスコットを見て、ミネアは再び水晶を覗きつつ思案を巡らせた。そして、何かの糸口を見つけ出したのか、スコットに視線を戻して話し出した。
「スコットさんのご実家は農業を営んでいらっしゃるのですね。スコットさんはそちらの経験は?」
 これまたズバリ言い当てられた。しかしスコットは農家として一生を終えるのが嫌で、城の兵士になることを夢見て家を飛び出した。城の兵士の夢も破れ、傭兵稼業をしているわけだが、傭兵という仕事には誇りを持っていた。
 ――まさか農家にでもなれというのか。今更、どの面下げて実家へ戻れようか。
「ガキの頃、親父に散々手伝わされましたよ」
 スコットは半ばぶっきらぼうに答えた。
「なるほど。それでは同じ用心棒でも、一個人ではなく、一度に大勢を守ることを仕事としてみてはいかがでしょう?」
 ミネアの提案は、スコットが想像していたものと全く違った。というより、ミネアが何を言っているのかよく分からなかった。
「エンドールのような立派なお城の城下町でしたら、城の兵士が町を守ってくれますが、お城から離れた小さな町や村になると、なかなかお城の目が届かないでしょう。そんな村全体を守れるような仕組みを作るのです。人々のいざこざを仲裁したり、犯罪が起きないように見回ったり、今あなたが行っている仕事に比べると地味かもしれません。でも、誰かを守るということに変わりはないと思うのです。
 もちろん、あなた1人でそれを行うのは大変かもしれません。でも、普段は仕事をしている若い人たちと組織を作るなどの手段はあります。その方があなたの身体への負担も和らぐでしょうし。
 どうやってお金を稼ぎ出すかというのも問題になると思うのですが、用心棒の組織が軌道に乗って、村からいざこざや犯罪が減れば、村の方たちから費用を負担してもらう仕組みも作りやすくなると思います。ただ、こちらはそう簡単には軌道に乗らないかもしれません。そんなときこそ、農業の経験が生きてくるのではないでしょうか?」
「つまり、兼業ということか?」
 ミネアは頷いた。
「この方法でしたら、魔物が村にまで入ってこない限りは右肩に過度な負担がかかるようなこともなく、長く続けられると思うのです。あなたの目標であった『お城の兵士』とはいきませんが、言うなれば『町の兵士』……でしょうか。
 もちろん、この話は単に私の提案ですので、参考程度に聞いていただければ良いのですが」
 ――城の兵士になりたいという俺の夢をも、ズバリ当てられてしまったか。
 スコットは思わず舌を巻いた。
「これは連日長蛇の列が出来るわけだ。将来起こるであろうことを告げるだけではなく、そういう提案までして貰えるとは……」
 スコットは目を輝かせ、これまでにない柔らかな笑顔を見せた。そんなスコットを見て、ミネアは占い師冥利につきると喜んだ。
「占い師にとって未来を見通すという力は、勿論一番大切なことです。でもその未来をただ告げるだけでなく、それが思わしくない未来だったときに、力になれることもまた大切だと思うのです。良くない未来を告げて落ち込ませるだけだったら、それは占い師としてどうなのでしょうか。
 ただその助言は、人生経験が豊かでないとなかなか上手にいきません。だから私は、もっと上の世代の同業の方から見れば、まだまだ未熟です。そういう点から見ても、この仕事はまさに一生向上心をもって続けられると思っています」
 ミネアはそこまで話すと、一旦目を閉じて1つ息をつき、再び目を開くと今度は伏目がちに視線を落とした。
「それでも、私自身も将来のことについては悩むことがあるのです」
 スコットは眉をひそめた。
「この商売を始めてもう何年も経つのに、いまだにこの賑やかな雰囲気に慣れない。もしこの性格がずっと直らなかったら、いつかこの息苦しさに押し潰されてしまうのではないかと、不安になるのです」
 瞳に暗い影を落とすミネアを見て、スコットは今度は自分が力を貸さないといけないと強く思った。
「ならばあなたも、一個人ではなく、一度に大勢を占えば良いのさ」
 思いがけず提案を受けたミネアは、あっ気に取られた。
「あなたの言うとおり、俺は農家のせがれだ。だから小さい頃よく見てきた。精魂込めて育てた作物が、収穫直前の大嵐で一瞬にして荒らされてしまったときの親父の落胆ぶりを。もしあのときあなたのような占い師がいて、先の天候を知ることができたら、いくらでも対処のしようはあったかもしれない。村を救ってくれる、みんなの悩みを聞いてくれる占い師、確かに1人幾らで見るより稼ぎは少なくなるかもしれないが……」
 今度はミネアが瞳を輝かせた。
「私は……人にそういう提案をしておきながら、自分のことには全然気付かなかったのですね」
「お役に立てて良かった。でもあなたのことだから、自分のことはとっくに占っていたのかと思っていたよ」
「私は、自分のことは余計な雑念が混ざってしまって冷静に客観的に占うことができないのです」
「なるほど、そういうものなのか。世の中なかなかうまくはいかないってことだ」
 2人、顔を見合わせて笑った。そんな和やかな雰囲気。スコットは今が良いだろうと考え、切り出した。
「ミネアさん、明日俺と一緒に出かけないか?」

 −つづく−

にほんブログ村 ゲームブログ ドラクエシリーズへ
にほんブログ村
ランキング参加中。ぜひクリックお願いします!

このページのトップへ

この記事へのコメント
兼業農家で出身の村を守りつつ農業を営む!
そんな手があったんですね!
1度にひとりずつじゃなくて大勢1度に占う!
そんな提案があったんですね!

思いもしなかった発想が多くて、
すごく面白いです!
スコットとミネアと、
キャラクター性を一段階落とし込んで展開する会話が、
新鮮でもあり、すごく納得できる話です。

次回が6話目で最終回かと思うと、
ちょっと寂しい気もしますが、
どんなラストになるのか、
楽しみです(^o^)/
Posted by かえさる at 2014年12月17日 13:11
ゲーム上でもスコットはミネアに占ってもらっていて
「おかげでどう生きれば良いのか分かったよ」と言っています。
(リメイク版では何故かカモ扱いされていますが^^;)

どんな占いの結果だったんだろう??と(勝手に)想像したものが今回の話です。
ちょっとした一言からあれこれ考えるのは面白いですね(*´д`*)

次回いよいよ4.5章最終回です。あと1話、どうぞお付き合いください!
Posted by タギー at 2014年12月18日 08:03
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。